「平野先生の著書『国際社会学』、ゼミのテーマ『ヒトと文化の国際移動』にまず興味を持ちました。そして、平野ゼミではメンバーがそれぞれ違った研究をしているでしょう。皆と研究を報告しあう中で、自分の知識を深めたいと思いました。」
菅谷さんは平野ゼミを選んだ理由をこう語ってくれました。
平野ゼミでは、ゼミ生の研究は十人十色で、『ヒトと文化の国際移動』というテーマにそってさえいれば、自分の好きなテーマを卒論に選択することができます。菅谷さんは予てから関心を持っていた『小型武器の国際流通と紛争』を卒業論文のテーマに選んだそうです。
「僕は3〜5歳までレバノン・パレスチナ・リビアに住んでおり、中東地域には友達もいたのですが、その友人の7人中5人は紛争に巻き込まれて亡くなりました・・・・」
菅谷さんにとって、友人の死はショックな出来事であり、単なる遠い異国の地の出来事ではありませんでした。だからこそ菅谷さんは紛争を止めたいと思い、在学中は国際連合の会議に参加したり、世界銀行の武器回収のプロジェクトに関わったりと、様々な活動に参加してきました。
では、なぜこの研究ではミサイルなど大型武器ではなく、小型武器に注目したのでしょうか。
「実はイスラエルでは、小型武器が大量に生産されています。そしてその小型武器が、パレスチナ側の武装勢力の手に渡り、争いのために使われる。イスラエル武装勢力もパレスチナ武装勢力も、小型武器を持つことで、『敵と戦う』というアイデンティティを保っているのです。この小型武器の流通を止めることが、平和への一歩となると考えています。」
現在の紛争の中で、小型武器の余剰は、一般市民をも戦闘へまきこみ、多くの人を殺し、結果敵対心・憎悪を増幅する一役を担っています。小型武器の流通も、国際的な監視体制におくことが必要だと菅谷さんは語りました。
彼は新聞社で、記者として就職することが決まっています。
「これからはジャーナリストとして、ゆくゆくは世界の紛争など国際問題を中心に扱い、伝えてゆきたい。伝えることが、紛争や諸問題の解決の第一歩となると思うんです。」
そう抱負を語る菅谷さんの決意に満ちた表情が、とても印象的でした。
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